技能五輪全国大会「アニメーター」職種の記録
 
 
 技能五輪アニメーター職種競技とは


2005年第43回技能五輪全国大会(通称・技能オリンピック)から「アニメーター」職種が新規競技(検討)職種として加わりました。競技は3回(3年間)行われ、4年目は全競技種目の展覧会にも参加しました。

新規競技(検討)職種になったのは、日本のアニメがメディア展開されると派手に見えること、また正式競技になった場合は世界大会でメダルを競うものであることから、アニメなら日本がメダルを取れる! と期待されたらしいことが理由と思われます。

しかし、技能五輪というものは観客を必要とするものです。競技ですからね。そうなると「アニメーター職種」は競技としてあまりにも華がない。我々審査検討委員はみなアニメーターですから、最初からその点を気にかけていました。

他職種の競技も見学に行きましたが、大工さんの競技は体育館などで行われ、動きが大きく迫力満点。調理競技も忙しく立ち働く姿がカッコイイ。

でもアニメーター競技はただ机に向かい、一日中、紙に鉛筆を走らせているだけです。手元を見れば少しはおもしろいのかもしれませんが、競技の公正性からも、選手に接近することはできません。

地味すぎる! おそらくお役所もそう思ったことと推察します。

アニメーター職種が正式競技に採用されることは、結果としてありませんでした。さもあらんと思いました。

 説明と感想:神村幸子
 
 
 
 参加を希望される方へ委員からのコメント (大塚康生さんの文面です)

 本年10月に山口市で開催される第43回技能五輪全国大会(通称・技能オリンピック)は、これまで42回の実績を重ね、競技職種も機械加工、コンピュター、土木技術、菓子製作など多岐にわたり、ものつくり日本の未来を担う若者の登竜門となっています。

 今回から本大会に、東京大学大学院の浜野保樹先生のご尽力もあり、新たに「アニメーター職種」が加わることになりました。課題および審査検討委員会のメンバーとして大塚康生、沖浦啓之、神村幸子、富沢信雄、百瀬義行、が選任され、昨年9月から討議を重ねた結果、アニメーターとして期待される能力を端的に表わすことの出来る課題を本大会のために用意することとなりました。

 通常アニメスタジオなどで新人を採用する場合、「絵」が上手に描けるかどうかで採用、不採用を決定するのが常識となっています。しかし絵が上手なだけでは動かして演技させるための資質としては不充分なのです。アニメーターに求められる「技」と「能力」はまず簡単な線を使って、【舞台(レイアウト)】と指定されるキャラクターの【演技(原画)】を描いてみせることからはじまります。アニメーターの仕事は数段階(レイアウト・原画・動画・クリーンアップなど)に分かれていますが、ここではまずもっとも望まれる演技想像力を競います。一見簡単なようですが前もって練習してくることが必要となるでしょう。

 そこで審査検討委員会では例題を事前に公開して参加される皆様にその課題意図を理解していただき、自分なりに練習して大会に臨めるようにいたしました。一般にアニメーターを志望する人は、ともかくもキレイな絵を描こうと努力すると思いますが、ここではきれいなキャラクターを描こうとしないで、デッサンをするつもりで、その人物のプローポーションを保持したまま、指示される演技を想像し画面に展開することにつとめて下さい。

 審査委員一同、参加される皆さんの力作に期待しています。頑張って下さい。


 「アニメーター」職種 競技課題

技能五輪のために作成した「競技課題」は、シンプルで、かつ動きのセンスを見極めることに、かなり有効な課題となっています。
また「動かす」ということを練習するためにもよい課題です。

ご自由にダウンロードしてお使い下さい。

アニメーター教育、または学校教育で役立てることができるよう、競技検討委員全員の承諾を得て、公開教材とするものです。(※著作権は放棄していません)
 
「アニメーター」職種 競技課題 見本

2005年 第43回山口県大会「アニメーター」職種 競技課題

2005年 第44回香川県大会「アニメーター」職種 競技課題

2008年 第45回千葉県大会「アニメーター」職種 競技課題

 





































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